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「犬の肉球ブログ(連載中)」
【桃子編】 二 出会い

犬の肉球ブログ 桃子編二 出会い 第二話

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二 出会い 第二話

     *

 家の地下には爆弾が埋まっている。
 軍人だった爺さんが、終戦のどさくさに紛れて手榴弾をひとつ盗んできた。もし米兵がこの家に来て略奪や暴行をはたらこうとしたら、それで家族全員自害するつもりだったらしい。その後米兵は一度も現れず、爆弾を使用することはなかった。
 爺さんは、僕が騒いだり悪さをしたりすると、口癖のようにこう言って叱った。
「爆発させるぞ」
 その一言で僕は振るえ、体の自由が奪われた。
 隠し場所を教えてくれないまま爺さんは逝った。
 だから今も、この家の地下の何処かに爆弾は埋まったままだ。
 きっと世の中にもいっぱい爆弾が埋まっている。つい先日も不発弾のニュースが流れたばかりだ。
 爺さんも言っていた。他の戦友も同じ事をしていたと。爺さん自身も戦友に勧められて手榴弾を一個分けてもらったと。
 古い家には気をつけろ。
 今も僕は怯えながら、ひっそりと暮らしている。

 先日、あるブログを見つけた。何の特徴もない、つまらないブログだったが、一つだけ気になるところがあった。タイトルが『犬のぷにぷに』なのに、どこを探しても犬に関する記事がない。タイトルと内容が整合していないと落ち着かない。読んでいるとイライラしてくる。

 記事の内容から、作成者はどうやらタレント志望の若い女らしいが、記事自体も「がんばる」とか、そういう本人の気持ばかり強調されていて、第三者が読んでもまったく面白くない。その証拠に、アクセスカウンターを見てもこのブログは誰も見ていない。題名も内容も全部だめだ。
 一体どんな奴が書いているのだろう。プロフィールを見ても、TOKOという名前以外は何も書かれていない。
 コメント欄に質問を書いてみた。
『犬のぷにぷに』の『ぷにぷに』って何ですか、と。
 するとTOKOから返事のコメントが来た。

『ブログを見てくれてありがとうございますm(__)m
 タイトルの「犬のぷにぷに」は、犬の足の裏のことです。ブログの内容とは関係ないです。犬の足の裏を触ったときの感触がとても気持ちよくて好きなので、それを表現してみました(*^_^*) TOKO』


 なんだ、このいい加減な答えは。なんのポリシーもないじゃないか。それに犬の足の裏のことを『ぷにぷに』などと勝手に命名してるし。
 僕は微かな苛立ちと怒りを抱えたまま、再びコメントを書いた。

『タイトルの趣旨はわかりましたが、犬の足裏を勝手に「ぷにぷに」と名付けるのはいかがなものでしょう。触った感触から、ぷにぷにと表現したくなる気持はわからなくもないですが、他の人が見たとき一体何のことだかわからないと思いますよ。
 TOKOさんのおっしゃる『ぷにぷに』とは、おそらく、よく足跡のイラストなどで表現される丸っこい形をした部分を指すのだと思いますが、それは正式には「蹠球」と言います。蹠球にもいろいろあって、前足の足跡を縦に見た場合、上、つまり爪の付け根辺りにある小さいもの四つを「指球」、その下の大きい一つを「掌球」と言います。後ろ足の場合ではそれぞれ趾球、足底球と分類されます。
 ただ、あまり細かいことを言っても仕方ないですし、蹠球という言葉自体もあまり知られてはいません。
 一般にわかりやすく表現するなら素直に「足裏」または「足の裏」でいかがでしょう。他に、俗称として「肉球」という言葉もあります。是非ご検討してください。
 ブログは、他の人が見てもわかりやすい、ということが大事だと思います。その点、TOKOさんのブログはタイトルも含めていまいちわかり難いです。長くなってしまったので今回はこれで終わりますが、近いうちに内容とか構成についても意見を述べさせていただきたいと思ってます。 myna』


     *

 一体何様のつもりだろう。ミーナって人。
 桃子は長々と書かれた犬の足裏の解説を眺めて、眉をひそめた。
 しかも、翌日またミーナのコメントを見つけた。今度はブログの内容そのものについての意見だ。写真を多用したほうがいいとか、タレント志望ならそういうキーワードを貼れとか、オーディションは裏話的に、多少の誇張があってもいいから具体的に面白く書けとか。
 どうやら変な奴に引っかかってしまったらしい。

 しかし、気持を落ち着けてコメントを再度読んでみると、写真を多用したほうがいいという意見は尤もだと思った。桃子のブログにはほとんど写真がない。日記代わりみたいなものなので、文字だけだった。キーワードについても一理ある。そう考えてみると、ミーナの言っていることは実は正しいのではないか、という気になってきた。

 試しにデジカメで顔が映らないように工夫した自分の姿、お気に入りのバッグや化粧品、美味しかった食事など、手当たり次第に撮影し、掲載してみた。キーワードもモデル、タレント、オーディションなどの単語を加え、空欄だったプロフィールにも短大生でモデル志望と書き加えてみた。
 すると、これまでせいぜい一日に一~二件だったアクセスが、五件前後に増えた。多いときは二桁になった。

 僅かな変化ではあるが、桃子は喜び、当初抱いていたミーナへの不快感は和らいだ。
 あれから二週間、ミーナのコメントは来ない。
 一体誰なんだろう。どんな人なんだろう。
 気になる桃子は、こんな記事を書いてみた。

『最近このブログを読んでくれる方がちょっとずつだけど、増えてます。読んでくださる方、ありがとう!
 それから、アドバイスをくれたmynaさん、感謝してます。
 もうすぐオーディションです。自分にとっても大事な大勝負。勝っても負けても、ていうか受かっても落ちても、当日の状況などここで詳しく報告するつもりです。どうかご期待ください!』


 すると翌日、ミーナからコメントが来た。

『TOKOさんへ
 ブログの内容は、最近見やすくなってきましたね。オーディションのレポートも楽しみです。
 でも、ブログタイトルはまだ変えていないようですね。「足裏」がいやなら、せめて「肉球」にしてください。 myna』


 このコメントで一気に醒めてしまった。不愉快な第一印象に逆戻りしてしまい、桃子の心の中は再びミーナへの不信で満たされた。
 やっぱりいやな奴だ。もう関わるのはよそう。
 そう思い放っておくと、翌日またミーナのコメントが届いた。

『なぜ未だに変えないのですか? 早く変えてください』

 桃子はむきになって返事を書いてしまった。

『別に何だっていいじゃないの。犬のためのブログじゃないし、わかりにくくても構わない。私は、ぷにぷにが好きなの!』

 このコメントに対する返事は、数分で返ってきた。

『なぜ言うとおりにしない!
 わがまま言うと爆発させるぞ!』


(「二 出会い」終了。次回から「三 オーディション」です)




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