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「犬の肉球ブログ(連載中)」
【桃子編】 四 残念会とお祝い会

犬の肉球ブログ 桃子編四 残念会とお祝い会 第三話・その二

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四 残念会とお祝い会 第三話・その二

「で、桃子はどうなんだ? ブログ名を変える気は?」
「ないよお、だいたい意味わかんないよ。ほっとけっての」
「普通はそうだよな。じゃあほっとくしかないな。不安ならこいつのコメント書き込み拒否にするとか」
「そんなことできるのお?」
「特定のIPアドレスを拒否することはできるよ。まあ、IPを変更したり、別のパソコンからアクセスすれば書けちゃうけど。相手がそう出てきたら、来たものを片っ端から拒否していく。そうすればそのうち来なくなるとは思うけどね」
「うん、そうする。お願い、亜衣」
「後でやり方教えるから自分でやりな。そうしないと一人の時に何もできないだろ。で、その前に――」
 亜衣は集めた雑誌の切れ端を桃子に見せた。

「全部で三十四枚あったよ」
 目の前に差し出されても、桃子は受け取る気になれず、無意識のうちに後ずさりした。
「うん・・・・。で、何かわかった?」
「わかったというか、あまり確信はもてない程度の憶測は、ひとつ持った」
「まさか犯人が誰か、とか?」
「さすがにそこまでは無理だな。ただね・・・・」そこで亜衣は珍しく言葉をためらった。「あー、言わない方がよかったかな」
「なになに? 気になるじゃない、止めないでよお」
「あくまで私の憶測だからな。脅かすつもりはないからな」
 桃子はうん、と小さく頷いて固唾を呑んだ。

「これらはみんな、雑誌か何かの頁を破り取ったものだな。写真の感じとか紙の状態から見て、結構古いのから新しいのまで混じってるし、裏本みたいのからその辺のコンビニでも買えるような雑誌までいろいろ。つまり一見すると脈絡がない」
 亜衣が桃子に一枚一枚見せながら説明する。見たくはないが、そういうわけにもいかず、桃子は我慢して写真を見る。
「で、ここからが憶測なんだけど、これらは脈絡がないようで、一つだけ共通点がある」
「どこに?」
「これらはみんな雑誌の頁だから、当然裏表両面に写真があるし、一つの頁に小さい写真がたくさん載っているのもある。従って紙としては全部で三十四枚だけど、写真の数自体はもっと多い。だから確信は持てないんだけど――たとえばここ」
「え、なに? どこ?」
「それから、ここ。こっちの紙ではここ。こっちの方ではここ。ほら、被写体の女の名前のところを見てみ」
「・・・・!」
 桃子は両手で口を押さえて床に崩れるように座り込んでしまった。

「そう。桃井、桃山、とか桃子、桃美、桃果、すもも、とか。この三十四枚には、必ずどこかに『桃』または『もも』の字が入った名前の女の写真が載っている。それが共通点」
「それって、それって――」
「うん。桃子のことをリアルで知っている奴の仕業、というのが私の憶測」
「誰、誰なの?」
「知らん。まあ普通に考えれば、一番怪しいのはこのマンションの住人かな。建物の中を歩いていても不自然じゃないし」
「どうしよう、亜衣」
 桃子がいくらうろたえても、他に手がかりもなく、新たな被害もないなら、戸締りに気をつけてしばらく様子を見るしかない。

「もうすぐ引越しだろ。それまでの辛抱だな。むしろここから出ていくことが決まっているのは不幸中の幸いだよ。何かあれば私を呼んでくれてもいいし――」
「ねえねえ、亜衣、そいつってことは考えられない?」
 桃子は机の上のパソコンを指差して言った。
「――ミーナか。可能性がゼロではないが、こじつけすぎのような気もするな。疑いだしたらきりがないよ。仮にそうだとしたら、ミーナの正体は、桃子と、桃子の住んでいるこのマンションを知っている人物ということになる」
 桃子を知っていて、尚且つこのマンションを知っている者はかなり限られる。両親と、亜衣。それに成美が一度来た事がある。美沙は知らないはずだ。あとはここの住人。でもほとんど挨拶もしない住人が、ブログを見ただけで書いているのが桃子だとわかるだろうか。
 亜衣の言うとおり、ミーナと雑誌の頁ばら撒き犯が同一人物というのは、飛躍しすぎかもしれない。

「あ」
 ここで、桃子の脳裏に二人の男の顔が浮かんできた。
 蓮と幸秀。彼らは知っている。
 でも、彼らはオーディションの日の夜に初めてここに来た。マンションの前で別れて、その後桃子が浴室に入るまでの間に、こんなことができるだろうか。亜衣の話によれば、ばら撒かれた雑誌の頁には意図的に共通点を設けてあるから、予め準備しないと揃えられないはずだ。
「ああっ」
 不可能ではないことに気づいた。コンビニのバイト初日、二人は桃子の履歴書を勝手に見ている。住所をたどれば探し出すことは可能だ。そしてオーディションの日、二人が桃子と会ったのは午後。時間はたっぷりあったはずだ。
「桃子、どうした。何か心当たりでも?」
「あ、いや、なんでもお、ない」
 疑いだしたらきりがない。亜衣の言うとおりだ。それに疑いたくない。あの二人がやったなんて思いたくもなかった。

「それから、次はブログのコメント拒否だったな――あれ、桃子」
 亜衣はパソコンの画面を見ながら、桃子を呼んだ。
「また何か起きたのお?」桃子は空腹と精神的ショックで疲れきった体を引きずって、亜衣の傍らに移動した。
「新しいコメント来てる。ミーナから」

『TOKOさん、まだ何も書いてないですね。もしかしたら最近ブログをいじってないとか? まったく呆れますが、今回は別件ですのでこれ以上何も言いません。
 先日のオーディションの結果がどうだったかわからないので悩みましたが、ひとつ、小耳にはさんだ情報を。雑誌の『WANTA』が、もうじき新しく読者対象にブログアイドルみたいの募集するみたいですよ。TOKOさんブログやってるし、挑戦してみてはいかがでしょう? myna』


 途端に、桃子の眼に精気が戻った。読者からモデルやライターを確保する『WANTA』ならありそうな企画だ。だが、これは信頼できる情報だろうか。
「ねえ、亜衣、この情報知ってる? 本当かな」
「・・・・知らん。初耳だな」
「これって未公開情報だよね。亜衣より早いなんて、ミーナって関係者なのかなあ?」
 食い入るようにディスプレイを見ている桃子を眺めて、呆れたようにため息をつきながら亜衣が尋ねた。
「どうする、コメント拒否の設定、今やる?」
「うーん、ちょっと待った。やり方だけ教えてえ。もうしばらく様子みたいから」
「はいはい」
 亜衣は一通り操作方法を教えて、それから帰り支度を始めた。
「これは捨てる? 一応とっとく?」亜衣は雑誌の頁の束を指した。
「うん。捨てたいけどお・・・・」
「わかった。私がどっかで適当に処分しとくよ」

     *

 亜衣が去った後、早速シャワーを浴びた。
 何日かぶりに全身をボディソープで包み込み、それから熱めのお湯で一気に流す。泡の下から現れた新しくもきめ細かい肌を見ると、少しだけ生まれ変わったような爽快感を味わうことができた。
 極楽極楽、と思わず口からこぼれてしまう。つい先ほどまでの憂鬱が嘘のようにすっきりしている。いつまでもこの快感に浸っていたかった。
 いっそのことこのまま完全リフレッシュしてしまいたくなり、桃子は夕方美容院に行って髪を切った。
 思い切ってベリーショートにしてみたが、成功か失敗か、微妙なところだった。良く言えばボーイッシュ、悪く言えば子ども。若々しく、軽快な雰囲気は強まったが、セクシーさは大幅に後退してしまった。鏡の中の自分を見ての第一の感想は、こんなに短くしたの、野球部のマネージャーをやった時以来だ、だった。

 翌日久々に出勤したバイト先では、毎度のごとく蓮と幸秀が遊びに来ていて、二人とも一応桃子の新しい髪型を賞賛した。
 ただ、二人は桃子がオーディションに落ちたショックで髪を切ったと誤解したらしく、相当な気の遣いようだった。優しくされると気分が良くなるので、桃子は二人の誤解を解く努力をまったくしなかった。

(第四話につづく)




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