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王様の宝物

王様の宝物

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むかしむかし、はるか遠く離れた大陸に、三つの国があり、三人の王様がいました。
北の山の国の王様は、西の森の国の王様とも、南の海の国の王様とも仲が悪くて、いつもけんかばかりしていました。

西の王様が大きな宮殿をたてたという噂を聞いて、北の王様は家来に命令しました。
「わしの国でも、もっと大きな宮殿をたてるのじゃ」
南の王様が美しいお姫様と結婚したという噂を聞いて、北の王様は家来に命令しました。
「わしも結婚ずるぞ。世界で一番美しい妃を探してくるのじゃ」
北の王様はだれにも負けたくありませんでした。でも、王様が無茶な命令ばかりするおかげで、家来たちはいつもクタクタです。

あるとき、三人の王様が集まって、自慢の宝物を見せ合うことになりました。
西の王様は、とても大きくてキラキラ光る宝石を持ってきました。
「我が家に代々伝わる家宝じゃ。こんなに大きい宝石は、世界中探してもみつからないだろう」
南の王様は、さわるとツルツルしてとてもなめらかな、美しい布を持ってきました。
「はるか遠い国より取り寄せた、絹という布じゃ。これはそう簡単には手に入らぬぞ」

どれも珍しいものばかり。
北の王様は悔しくてたまりません。北の王様は、二人に自慢できるような珍しい宝物を持っていません。
「わしも、あいつらに自慢できるような宝物がほしい。世界中探しても絶対にみつからない、この世でたったひとつしかないような宝物をみつけるのじゃ」
王様はさっそく、国中から宝物を集めるように、家来たちに命令しました。

やがて、多くの人が王様に宝物を献上しようとやってきました。

山のふもとの農夫は野菜を献上しました。
「うちの畑でとれた野菜です。一生懸命育てたので、大きくて栄養もたっぷりです」
「野菜なぞ、珍しくないわ!」
王様は怒って農夫を牢屋に閉じ込めました。

山に住むキコリは果物を献上しました。
「山道を何日も歩いて集めた果物です。とても甘くておいしいです」
「果物なぞ、珍しくないわ!」
王様は怒ってキコリを牢屋に閉じ込めました。

川沿いに住む漁師は魚を献上しました。
「川でとれた自慢の魚です。とれたてですので、とても新鮮です」
「魚なぞ、珍しくないわ!」
王様は怒って漁師を牢屋に閉じ込めました。

いつまでたっても、珍しい宝物は手に入りません。

「えーい、いつまで待たせるのじゃ。早くさがすのじゃ!」
と、いつも王様はイライラして家来たちを怒鳴り散らします。
困ってしまった家来たちは、恐る恐る言いました。
「王様、もう何度も国中をさがしまわりました。この地上に、二つとないような珍しいものなんて、見つかるとはとうてい思えません」
「なにを言うのか。地上で見つからないのならば、地上でないところを探せばいいではないか」
「王様、それは一体、どこでしょうか?」
家来たちの問いに、王様は「うーむ・・・・・・」と少し考え込みました。
やがて王様は思いつきました。
「よし、月に住むというウサギを捕まえよう。これなら、誰も持っていないし、自慢できるにちがいない」

王様は大きな工場をたて、月へ行くためのロケットを作るよう家来に命じました。
家来たちはヘトヘトになりながら、大きな工場をたてました。
とうとうロケットが完成し、打ち上げる日がやってきました。王様はわくわくしながらその様子をながめています。

ロケットはごーっと音をたて、火と煙をはきながら地上を離れて浮かび上がりました。
しかし、まっすぐ上がっていくことができずに、右に左に大きく揺れています。そしてとうとう火が消えて、落っこちて地面に突き刺さってしまいました。

打ち上げは失敗してしまいました。でも王様はあきらめません。
「月へ行けるまで、何度でもやるのじゃ。ロケットももっとたくさん作るのじゃ」

王様の命令で、ロケット工場はどんどん増えて、たくさんのロケットが作られました。そして何度も何度も打ち上げてみましたが、全部失敗でした。ロケットはうまく飛べずに途中で墜落したり、爆発してしまったのです。

気がつくと、北の国は国中がロケットの残骸だらけになってしまいました。

工場をたてるために、山の木々は全て切り倒されてしまいました。
畑には落っこちてきたロケットが何十本もつきささり、作物は実りません。
川には工場の排水が流されて真っ黒になってしまい、魚が住まなくなりました。
そして空はロケットの吐き出す煙のおかげで、いつもどんよりと曇ったように灰色になり、とうとう夜になっても月が見えなくなってしまいました。

おなかがすいても、もう野菜も果物も魚もありません。月も消えてしまいました。王様は悲しくなって泣きだしてしまいました。

夜中、王様がベッドの中で泣きながら寝ていると、枕元にちいさな影が立ちました。よく見るとその影は、ウサギの形をしていました。
「おお、お前はもしや、月のウサギなのか。わしに会いに来てくれたのか?」
影は小さくうなずきました。
「私は月の光が生み出した、ただの影です。今夜は久しぶりに空にかかる煙に少しだけすき間ができて、地上にもわずかだけ月明かりがとどくようです。だからこうして姿を現すことができたのです」
影は確かに月のウサギでした。影だけの姿なので、ぼんやりしていて、どんな目鼻をしているのかもわかりませんが、声だけははっきりと聞こえました。。
「あなたですね。私たちの住みかにロケットを打ちこんで、私の仲間を連れ去ろうとしているのは」
「そうじゃ。でも、そのおかげで国はめちゃくちゃになってしまったし、月も姿を消してしまった。もうお終いじゃ。おなかがすいても食べるものもない。なにもかも失くしてしまったんじゃ」
そう言って王様は泣きだしました。
月のウサギは言いました。
「そうです。あなたが何もかも欲しがるから、こうなってしまったのです。月はあなたのものではありません。夜になればどこの国でも、どんな人にも、月は空にあって、淡くやさしい光で照らします。月はみんなのものなのです。決して独り占めはできません」
「そうじゃ。そのとおりじゃ。どうやらわしは間違っていたようじゃ」
王様はまた泣きだしました。
「心から反省しているようですね。では、月をもとにもどす方法を教えましょう。牢屋に閉じ込めている人たちを出してあげなさい。そして彼らに謝り、彼らの望むことをかなえてやるのです。そうすれば、やがて月はまたこの国の夜を照らすでしょう」
「本当か、そうすれば本当に、また月が戻ってくるのか?」
「教えた通りにすると約束すれば、やがてあなたは求めていた宝物も見つけることができるでしょう」
そう言うと、月のウサギの影は姿を消しました。

翌朝、王様はさっそく牢屋から農夫、キコリ、漁師を開放し、彼らに謝りました。

農夫の望むとおり、王様は畑に突き刺さったロケットの残骸を全て取り除きました。すると畑からはまた少しずつ野菜がとれるようになりました。

キコリの望むとおり、王様は山に木を植えました。すると木々にはまた少しずつ木の実や果物が実るようになりました。

漁師の望むとおり、王様はロケット工場をなくし、汚れた水が川に流れ込まないようにしました。すると川にはまた少しずつ魚が住みつくようになりました。

北の国がすっかりもとどおりになるまでには、何十年もの月日が必要でした。王様はすっかりおじいさんになってしまいました。

ある日、北の王様は再び西の王様、南の王様と宝物の見せ合いをすることになりました。北の国にやってきた二人の王様に、北の王様は国でとれた野菜、果物、魚の料理で夕飯をごちそうしました。
「おお、なんて美味しんだろう。こんなに美味しいごちそうは初めてだ」
西の王様も南の王様も喜んで食べました。

北の王様は嬉しそうに言いました。
「そうじゃ、この美味しい野菜や果物や魚はみんなこの国でとれたものじゃ。みんなが一生懸命働いてくれたおかげじゃ。この食べ物も、この国の人々も、わしのかけがえのない宝ものなのじゃ」
この夜、王様たちはお互いに仲直りすることを約束しました。
空にはまんまるく、美しい月が浮かんでいました。
                                       (おわり)


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~ Comment ~

ほのぼのですね

ありきたりなんかじゃないと思いますよ。
このせちがらい世の中、日本人もこの王様のように、身の回りのささやかな幸せに目覚められたらいいのにねぇ。

といった教訓がさりげなく織り込まれていて、余韻は「微笑」って感じです。
素敵でした。

Re: ほのぼのですね

あかね さんへ

コメント大変嬉しく思います。ありがとうございます。

ワガママな権力者が改心する、という話はよく見かけるので、新鮮味がないかな、という不安を抱えつつ書いてました。
でも、こういうパターンのお話って、良し悪しは別として、書いていて結構気持ちいいんです(笑)。

あかねさんのコメントを励みに、今後も躊躇せず取り組んでいこうと思いますw

はじめまして

面白かったです。「白い彼女」も面白かったですが、どちらかといえばこういう路線のほうが好き(^^)

個人的なことをいわせていただければ、これだけムチャクチャな命令でこき使われて、それでいて反乱ひとつ起こそうとしない忠誠心にあふれた国民のほうが「貴重な宝物」なのではないかと思えてならないであります(^^;)

Re: はじめまして

ポール・ブリッツ さんへ

こんばんは。
コメントありがとうございます。
『白い彼女』もお読みいただいたとのことで、大変ありがたく思っております。

私も実は、こういう路線好きで、もっと色々書いてみたいと思っていますw
ですが、どうもいまひとつ、オリジナリティに欠けるようなアイデアばかりで、困っていますww
ただ、色々悩むより、どんどん書いた方がいいのかもしれないと、最近は考え始めてもいますので、そのうちまたこうした感じのものを作ってみようと思います。

相変わらず拙いものになるかと思いますが、お時間のあるときにまたいらしていただけると幸いです。

確かに、改めて読んでみると、国民のみなさん、忍耐強くていい人ばかりですね(笑)。
王様は実はすごく恵まれた環境にいるってことに、早く気付くべきでしたねww
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