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蓋 (一)

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(一)

 その一見たわいなく部屋の片隅に置かれている物に、形容しがたい違和感を感じるようになったのはいつのことだったろう。
 つい今しがた、そのように思うようになったのかもしれないし、それがそこに置かれるようになった瞬間から、既に感じていたことかもしれない。

 そもそも、それはいつからそこに置いてあるのだろう。
 まるでそこが定位置と言わんばかりに落ち着き、この部屋の日常にすっかりと溶け込んでしまっているが、よくよく考えてみると居間のテレビのまん前に居座ることが、それにとって最善のあり方だとはとても思えないのだ。

(ならば、動かしてみようか)

 幾度か手を差し伸べてみたが、指先がそれに触れることにどうしても躊躇ってしまう。

(やめた方がいい)

 何処からともなく聞こえてくる声に抗うまでの勇気を、私は蓄えていなかった。

(ならば、このまま放っておくのか)
(仕方がない)
(このままでいいはずがない)
(今更なにをしようと言うのか)
(いつまでも逃げられるわけじゃない)
(触れてはならない。開けてはならない)
(ああ、触りたい。開けてしまいたい)
(開けてはならない)

 今夜も、出口のない問答が始まった。
 スイカがすっぽりと入るくらいの大きさのそれは、しっかりと蓋で閉じられている。
 誘うような滑らかな意匠を具えた取っ手は、「さあ、この蓋を開けてくれ」と、見る者に訴えかけてくるようだ。

(ああ、開けてしまいたい。早く楽になりたい)
(開けてはならない。決して中を見てはならない)

 いつまでこの衝動に耐えられるのだろうか。
 連日の不快な熱帯夜は、苛立ちと憔悴以外、何も与えてはくれない。


(つづく)

※開始しました。今回はほとんどプロローグのような内容になっております。今後もよろしくお願いいたします。


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