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「白い彼女」
第四章 天の声、その二(15~16話)

白い彼女 第16話

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第16話

「・・・・・・・・」
 何だ。
「・・・・・・・・のままです」
「この・・・・いったい・・・・くんですか」
 何が聞こえている。
「とりあえず、このままでし・・・・く、ようす・・・・なります」
 天井の方から人の声がする。
 ああ、そうか。いつも聞こえていたあの声だ。

「失礼ですが、あなたはどのような・・・・」
「私は・・・・」
 なんだか今日はやけにはっきり聞こえるな。男と女が話し合ってる。

 男の方はしょっちゅう聞く声だった。女の方はあまり聞かない声だが、初めてではない気がした。いつだったか、右手を誰かに握られているような感触を覚えた時を思い出した。
 ん? あのとき、誰かの声が聞こえていたっけ?

 あのときは確か音楽が聞こえていたはずだ。他に声が聞こえたような記憶はない。
「それで、今後の見通しは、どのようになりますか。可能性の段階でも差し支えありませんので、お聞かせください」
 女の声が尋ねている。
 そう、いつもそんな風に人に詰め寄るんだよな。物事に白黒つけたがって、曖昧な返事が返ってきようものなら、容赦なく追求する。そんなんだから上司に嫌われるんだって、何回も忠告したじゃないか。なのにお前ときたら――



 瞼が開き、視界に光が入り込んでくる。目の前にはいつもの天井に蛍光灯がぶら下がっている。何も変わっていない。ついさっきまであんなにはっきりと聞こえていた声も途絶えてしまい、部屋中が静寂に包まれている。
 聞き覚えのある声だった。あの女の声を聞いて、何かを思い出しかけていた。あれは誰の声だったのだろう。おれの知っている声だ――そう考えてみて、間違っているという気がしない。

 右手を眼前にかざしてみる。手首を回して手の平と甲を交互に眺める。握って、開いてみる。手を蛍光灯に向って伸ばしてみると、まるで指と蛍光灯が繋がっているような錯覚を呼び起こす。このまま手を自由に伸ばしたり縮めたりできたらいいのに。

 ・・・・。
 ・・・・・・・・。
 妙に、静かだ。
 ・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ベッドから跳び起きた。辺りを見回してみる。何も変わっていない。いつもと同じ部屋だ。
 でも、だれもいない。
 いつも傍らにいた少女の姿がどこにもない。
「おーい」
 返事はない。
「おーい」
 何も起きない。何度呼んでもおれの声が空しく四散して壁のなかに吸い込まれていくだけだった。

 しばらくベッドに腰掛けたまま、待ってみた。
 いつまでたっても「彼女」は入ってこない。
 ベッドの下を覗いてみた。何もなかった。窓の外を見た。いつもどおり、ただ真っ白なだけの風景だった。ドアに手をかけてみた。押しても引いても動かない。蹴ったり体当たりしてみたが、無駄だった。
 彼女がいなくなってしまった。
 途端に、どうしたらいいかわからなくなった。

 ――私はここにいたいから――
 ――でも、そろそろだし、イサムが望むならやりたくないけど、やる――

 彼女の言葉を反芻する。

 ――思い出してないからイサムはこのままでいられる。それでも思い出したいの?――
 ――私はずっとここにいるよ――

 左手で右の手首を掴み、改めて右手を目の前に持ってくる。手の平には薄っすらと汗が付着し、弱々しく光っていた。
 その右手が小刻みに震えている。その震えは次第に全身の隅々へと伝播していくようだった。
 どうやら彼女は実行したらしい。あの最後の言葉で。

(第四章終了・次回(17話)から第五章)




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