スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←白い彼女 第19話・前編 →白い彼女 第20話
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 王様の宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記・ひとり言
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【白い彼女 第19話・前編】へ
  • 【白い彼女 第20話】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「白い彼女」
第六章 ユカ、その二(19~22話)

白い彼女 第19話・後編

 ←白い彼女 第19話・前編 →白い彼女 第20話
第19話・後編

「あのね、今度、四人で遊びに行こうって、ケイコに言われたんだけど・・・・」
「四人?」
 コップの水が全ておれの中に入ってしまってもまだ水分が足りず、氷をバリバリと噛み砕きながら聞き返した。
「ケイコとコウイチくんと、私と・・・・イワイくん・・・・」
 おれの名前を出す前に少し間があった。ユカが緊張しているせいか、それとも何か別の理由があるのか。ケイコに言われたということは、おそらくコウイチも一枚噛んでいるだろう。どうもあの二人にはいいように利用されているフシがある。つい細かいことが気になってしまう。

「どう、かなあ」
「どうって言われてもねえ・・・・」
 気のない返事をしたせいか、ユカは困ったような表情のまま小さく俯いてしまった。
 丁度そのとき、コーヒーが来たので話も中断してしまう。傍から見れば、おれがユカを叱っているか、別れ話でもしているように映っているんじゃないか。

「今度って、いつ?」
「聞いてない」
「遊びに行くって、どこ?」
「・・・・わかんない」
 なんだか小さい子どもと話をしている気分だ。
 普段は落ち着いていて、大人っぽく見えるのに、今日は全く違っている。一体何がユカをこんなに萎縮させているのだろうか。

「ちょっと訊きたいんだけど、話っていうのは、それだけ?」
「うん、そうだけど・・・・」
「それだけの話に、何でそんなに緊張してるの?」
「へ? 私? 緊張してる?」
「そう見えるけど」
 ユカは何かを言いかけてやめた。「そうかな」と、独り言のように呟いて、また俯いてしまう。
「・・・・気が乗らないなら、別にいいんだけど・・・・」
「うーん、いつ、どこに行くのかもわからないんじゃあな。そういえば、今日はコウイチと結構話す時間多かったけど、何も言ってなかったな」
「私から話すってことになったの」
 なんとなく想像はつく。ユカに誘わせて、おれとユカの距離を縮めようとか、くっつけようとか、そんなとこだろう。そういうことを思いつくのは、どちらかというとケイコの方だという気がする。

「〝金さん〟にそう言われたの? おれを誘えって」
 少なくともユカに直接指示したのは、というか、指示できるのはケイコだ。だが、ユカは首を横に振った。
「じゃあ、コウイチなのか」
 ユカは再び首を振った。
「実はね、初めはね、ケイコと私の二人で遊びに行こうって話してたの。最近あんまり会ったりしてなかったし、たまにはいいよねって。そしたらコウイチくんが話に割り込んできて、いつの間にか彼も一緒に行くってことになっちゃって――」
「で、なぜかおれの名前も出てきた、と」
 しかしユカはまたまた首を振る。
「あの二人は知らないよ。イワイくんに声かけること。言ってないから。でも、たぶん予想はしてると思うけど」
「どういうことよ?」

 初めは女二人で遊びに行く予定が、コウイチが加わって女二人+男一人の計三人になった。しかも男は女のうちの一人と付き合っている。余った女=ユカにしてみれば身の置き所がない。でも、いまさら「行かない」とは言えないらしい。なぜなら言いだしっぺはユカだからだそうだ。
 予想だにしなかった事の成り行きにユカが戸惑っているうちに、もう一人誰かを誘おうということになった。人選はユカに一任、ただし男に限る、だそうだ。
 そうなれば、候補がおれしかいないのは、おれ自身理解できる。ケイコも当然そうなることを知っているはずだ。そうなるようにわざと仕組んだ訳だ。

「おれが行かない場合は?」
「他に誘うアテもないし、三人で・・・・行く」
 迂闊な質問だった。墓穴を掘る、というやつだ。自分で自分を追い込んでどうする。
「ユキノはどうなの?」
「・・・・どうって?」
「あんまり楽しそうに見えないし、行きたくないんじゃないの?」
「行きたくないっていうか・・・・なんて言うか・・・・」
「あのさ、乗り気じゃないなら、やめりゃいいじゃん。別にたいしたことじゃないでしょ」
「うーん、そうなんだけど、なんかそういう訳にもいかなくて・・・・」
 ユカはまた俯いてしまう。
「なら、三人で行ってらっしゃい。おれは正直なところ全然行きたくないです」と心の中では訴えたが、口からは別の言葉が流れ出てしまった。
「わかったわかった。いいよ、行っても」
 おれってお人好しなんだろうか。こんな面倒なことに付き合うなんて本当はありえないはずなのに。
「ほんと? 無理してない?」
 ユカはおれの返事を聞いた途端、身を乗り出し気味にこちらを覗きこんだ。その両瞳は微かに潤んで、キラキラして見えた。
「してるよ、無理。しかもかなり」と言いたかったが、言えなかった。
 ユカは驚きから安堵へ、そして喜びへとみるみる表情を変化させている。人の表情ってこんなに変わるんだ、などと感心してしまう。おれの一言で、おれの返事しだいで目の前の女の境遇を天国にも地獄にもできる。それは一種の快感に近い感覚であることを、おれは初めて知った。今、ユカはおれの支配下にあるのだ。

「よかったー。実はね、私コウイチくんのこと、ちょっと苦手なんだ。なんて言うか、ちょっと怖い。ほとんど話したこともないし、三人で行くことになったらどうしようって思ってたの」
 そりゃそうかもな。男が怖いお前にとって、女好きのイメージの強いコウイチは天敵みたいなもんだろう。
 急にユカは流暢に喋り始めた。現金な奴だと思うが、悪い気はしない。だが、気に入らないこともある。
「一緒に行ってもいいけど、一つ条件がある」
 その一言を聞いた瞬間、ユカが凍りついた。その顔は徐々に不安に覆われていく。
 面白い。これが支配の醍醐味というやつだ。

「四人で遊びに行く前に、おれとユキノの二人で一回、どっか遊びに行こうよ」
 今、この状況下ではユカはおれの思い通りだ。だが、この状況を作り出したのはケイコとコウイチだ。このままではおれとユカは、あの二人の手の平の上で踊っているのと同じことだ。しかもここまではあいつらの予想通りの展開に違いない。それがどうしても気に入らない。
 あいつらは四人で「デート」したのをきっかけに、おれとユカを付き合わせようとしている。だが、あいつらの「お陰」で、なんてのは御免だ。あいつらに利用されてなるものか。

 だから、おれは決めた。四人で会う前に、ユカとは付き合う。あいつらを驚かせてやる。
 特に、ケイコだ。何もかも知っているような顔で、おれにユカを押し付けて、自分は自由に遊んでいる。それだけならいい。そのまま放っておいてくれれば気にしないのに、裏から干渉し、おれをコントロールしようとしている。何でも自分の思うままに他人を、特にこのおれを操れると思ったら大違いだ。

 おれはおれで勝手に、自由にやらせてもらう。
 そのためには、先ずケイコの予想や期待から外れる行動をとること、次に、秘密を作ることだ。
 突然のデートの誘いにユカは驚いたようだが、すぐにOKした。どのみちこの状況では、ユカは断われない。

(第20話につづく)




にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
お気に召しましたら、ぽちっとしていただけると励みになります

関連記事


もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 王様の宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記・ひとり言
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【白い彼女 第19話・前編】へ
  • 【白い彼女 第20話】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【白い彼女 第19話・前編】へ
  • 【白い彼女 第20話】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。