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「白い彼女」
第七章 ケイコ(23~26話)

白い彼女 第26話

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第26話

 ケイコの手料理は、ユカの言っていた通り、絶品だった。
 ユカは思ったより重症らしく、夕方になってさらに熱が上がった。ユカの母親が帰宅したので、おれとケイコは帰ることにした。
 母親は、おれを見てかなり驚いた様子だった。

「しょうがないよ。でも別にあんたを嫌ってるわけじゃないよ。ユカが家に男を連れてくること自体が大事件なんだよ。きっとお母さん、内心はほっとしてると思うよ」
 ケイコはそう言ってくれた。

 ユカは回復するのに最低二~三日はかかるだろう。いつ水族館に行くかの約束はしていないが、ケイコにばれないようこっそりと「治ったら電話するね」とおれに言った。

 ケイコと二人で歩き、駅前に到着する。ここで、おかしなことに気づいた。
「何でケイコが駅までついて来るんだよ?」
 ケイコはユカと幼馴染だから、ユカの家の近所に住んでるはずだ。
「ははは、ばれたか。これから飲みに行こうよ」
「なんだよ、それ。コウイチとでも行けばいいじゃないか」
「だから、それができなくなったから、ヤケ酒に付き合ってってお願いしてんの」
 断わるに断われず、ケイコに付き合うハメになった。

     *

 ケイコがたまに行く、という店に向かった。
 その店は駅前の商店街から少し外れた、静かな路地にぽつんと構えていた。外見は飲み屋というより、喫茶店を連想させる。看板には「喫茶BITES」としっかり書いてあった。
 店内はカウンターと小さな丸テーブルが三つほどで、やたらと多い観葉植物のおかげで狭く感じる。クリスマスを意識した装飾もBGMもなく、ついでに客もいない。

 おれとケイコは一番奥のテーブルに座った。すると、観葉植物が遮って出入り口が見えなくなった。つまり外からもここは見えないというわけだ。
「ここって、表には喫茶って書いてあったけど」
「喫茶店だけど、お酒も出してくれるのよ。というより、夜は完全に飲み屋ね。お茶をしに来る客はいないよ。ここのマスターは知り合いだから、見逃してくれるってわけ」
「はいはい、だからって悪用しないでねケイコちゃん。あら、今日は可愛らしい男の子と一緒じゃない。何、二人でクリスマス? なんだったらケーキもあってよ」
 マスターらしい男がメニューを差し出した。若くて背が高く、きれいな顔をしているが、話し方がオネエなのがちょっと気になった。
「そんなんだったらここには来ませんって。私はとりあえず生ビール。イワイは?」
「ああ、じゃおれも生ビールで」
 程なくして、生ビールが二つやって来た。取っ手の付いたごついジョッキをイメージしていたが、出てきたのはスラッと背が高く流線型でスタイルのいいパイントグラスだった。

 乾杯、と言ってグラスを軽く合わせ、飲む。
 ケイコの場合は流し込む、という表現の方がふさわしい。おれがグラスの半分を空ける間に、二杯目を注文した。
「ケイコは酒強いんだな。よく飲むのか」
「まさか。月に一~二回くらいよ。家で飲むことが多いかな。他人と比べたことがないからわからないけど、女の子にしては強い方じゃないのかな。イワイは飲めるの?」
「・・・・よく、わからない」
 グラスに半分ほど残ったビールを見つめる。美味い、とは思わない。
「あ、まさか飲んだことないとか?」
 小さく頷いた。こういう場合、何やら自分が相手よりも数段子どもっぽいような気分にさせられて、どうしてか恥ずかしくなる。でも事実だから仕方ない。家に置いてある父親の焼酎やブランデーをこっそり舐めてみた程度の経験しかない。
「じゃあさ、せっかくだからいろいろ試してみなよ。メニューにないカクテルとかもマスターに頼めば作ってくれるから」
 ということで、いつのまにかおれの試し飲み大会が始まってしまった。

 ビールの次はワイン、焼酎のお湯割り、カルアミルク、ジントニック、日本酒、レモンサワー・・・・。何の脈絡もなく思いついた順に注文し、次から次へとグラスを空けていく。
 体中が熱くなって、汗ばんでいる。視界はぼやけて、ぐらぐら揺れている。耳も遠くなったような気がする。
 なんかやばいんじゃないのか、と頭のどこかで考える反面、圧倒的にどうでもいいや、という気持ちが膨れ上がってくる。

 これって、もしかして、おれ、酔っているのか?
「なあんだ、イワイもう酔っ払ったの? あははははは」
 顔を真っ赤にしたケイコの笑い声が店内に響く。
 おれ達しか客がいないので、騒いでもマスターは何も言わない。ケイコも必ずおれと同じものを注文し、一緒に飲んでいた。どうやらケイコも出来あがってしまったようだ。

「じゃあ、次、まだウイスキー飲んでないよ。せっかくだからロックにしてもらおう」
 マスターがウイスキーを二つテーブルに置きながら、おれに向って「今日はご機嫌ね。あなた、ちゃんとケイコちゃん送ってあげなさいね」と言うと、ケイコは「大丈夫ですよー」と言ってまた笑い出す。

「ねえねえ、それで、ユカとはどうなってんの?」
 グラスを片手に、とろんとした目で、上半身をゆらゆらさせながら、ユカが訊いてきた。もう呂律も怪しくなっている。
「どうって、べつに、ふつう。ふつうに、ふつうだよ」
 答えるおれも何を言っているのかよくわからない。
「んにゃー、なんかあったれしょ。あらしが買い物してるあいだに。だって戻った後ユカちょーごきげんだんたもん。しかもお、汗だくで。あーやーしー」
 ケイコの流し目が痛い。

「しらねーよ。あ、それよっかケイコ、お前ユカに話しちゃっただろ、おれのこと」
「んー? なにを」
「だから、おれが、ユカのことを、いろいろ知ってること」
「えー? 話してないよ。話すわけないじゃん」
「なわけないだろ、だってユカ知ってたぞ」
「まーさーかー。・・・・ま、最近あたしを疑っていたけろね。あのコ、意外に勘が鋭いところあるから、かわすのに苦労してたけど・・・・あっ!」
 ケイコは体を硬直させ、それからおれを怖い顔で睨みつけた。突き刺さるような視線は、一瞬でおれの体温を五度は下げた。
「あんた、まさか――」
「へっ? なに?」
 おろおろするおれを見て、ケイコはテーブルに突っ伏してため息をついた。
「この、ドジ! あんたユカにはめられたね」
 その一言で、おれも全身の力を失ってしまった。

「あ、あのー、ケイコさん・・・・」
「で、どうなったの? ちゃんと話しなさい!」
 仕方なく、おれはユカとのやりとりを一通り話した。
 ケイコはさっきまでのほろ酔いが吹っ飛んでしまったのか、食い入るようにおれの話を聞く。おれが話し終えると、ケイコはふーっと息を吐いた。

「なんだ、じゃあうまくいったってことじゃん。心配して損した。罰としてあんたもっと飲みなさい!」さらにウィスキーを注文するケイコ。
「でも、意外だ・・・・。ユカがそんな策士だったとは」
「なに言ってんの。たいしたことないよ、そのくらい。女なら普通よー」
「そ、そういうものなのか。それじゃあ、おれってもしかしたら他にもまだユカに何か騙されてるんじゃ――」
「それは、ない!」自信ありげにケイコは断言する。
「言ってなかったけどね、ユカはもともとあんたに一目ぼれ状態だったの。それが都合よくあんたの方から近づいてきたもんだから、嬉しいんだけども、同時に『これはちょっとおかしい』って思ったみたいなのよ。それであたしが真っ先に疑われて、次にあんたにカマかけただけ。気持ちは本物だから安心してよ。あたしが保証する。まあ、ユカの秘密を話したことがばれちゃったから、あとはあたしがユカにそのことを謝って一件落着。『雨降って地固まる』ってやつね」
「その例え、合ってるのか? なんか釈然としないなあ」
「なに言ってんの。あんただってユカとくっついて嬉しいくせに」
「なんでそんなことがわかるんだよ」
「じゃあ訊くけど、あんた、いつからあのコのこと『ユキノ』から『ユカ』に切り替えたのよ?」
「げっ」言われて初めて自分も気づいた。みるみる顔が熱くなる。
「それからあ、買い物から戻ったとき、声だけ聞こえたのよねユカの声。『協力して』とかなんとか。何の協力するの?」
 ますます顔が熱くなり、ケイコを正視できなくなった。それを見てケイコは大喜びし、遠くから「かわいい」とマスターの声も聞こえた。


「そっかあ、ユカとできちゃったかあ」
 ひとしきり笑ったあと、余韻に浸りながらしみじみとケイコが呟いた。
「なんだよ、まだひっぱんのかよ」
 この話題では、おれは手も足も出ない。なんとか脱出したかった。
「いやいや、ユカに男ができて嬉しいよ。あたしの苦労も報われるってもんだ。でもね、正直なところ、こうなるとは思ってなかった。あんたもユカも自分からコクるように見えないもんね。まさかあのユカの方から動くとは予想外だわ」
「まあ、否定はしないけど」
「だから、そのうちあんた達の関係は自然消滅しちゃうと思ってたのよ。そうしたら――」
「そうしたら?」
「あはははははははは、今のなし! とにかく今日はあんた達のお祝いってことで、じゃんじゃん飲もう」

 それから、どのくらい二人で飲んだかよく覚えていないが、「閉店よ!」とマスターに店を追い出された時には、二人とも真っ直ぐ歩けず、路上で各々が一回ずつ吐いた。

(第七章終了・次回(27話)より第八章)




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