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「白い彼女」
第十章 ハルミ、その二(35~41話)

白い彼女 第37話

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第37話

『みんなにバレたくさい』
 三月一日、出勤直後に正面に座るハルミから渡されたメモには、そう書かれていた。
 朝っぱらから気が遠くなる思いだった。

 あの出張の夜から三ヵ月も経っていないのに、もうばれてしまった。おれもハルミも細心の注意を払っていたつもりだったし、毎日ベッタリと二人で過ごしていたわけでもないのに。一体誰が、どうやって察知したのだろうか。

 思わず周囲に目をやる。ウチの会社はビルのワンフロアを借りているだけなので、立って見渡せば、パーテーションで間仕切りして作った社長室と応接室以外の社内全体の様子を伺うことができた。だがこうして眺めても、いつもと変わらない朝の風景が横たわっているだけだ。
 正面のハルミがわざとらしく咳払いをした。不自然に目立つ行動は控えろ、ということだろう。仕方なくおれは座ってデスクのパソコンの電源ボタンを押す。起動するまでの間、改めてメモを眺める。

 みんなにバレたくさい。
「くさい」ということは、まだ確実にばれた、ということではないかもしれないな、などと空しい希望的観測を思いつき、アホらしくなって頭を振る。
 問題は「みんな」だ。一体どの範囲を指しているのか――まったく、いつもの仕事みたいにもっと正確に記述して欲しいものだ――放っておけば広まるだろうが、まだ同僚の噂レベルなら打つ手もあるかもしれない。上司に知られていれば、もうアウトかもしれない。
 もっと最悪なのは外部だ。お得意さんとか取引先とかに醜聞として流れていたら、いやこの噂自体、外部から流入したとしたら・・・・。考えるだけで帰りたくなってきた。

 ウチは特に社内恋愛厳禁、というわけではない。
 社員なら誰でも知っているカップルもいるし、社内恋愛から結婚に至り、今では夫婦揃って働いている社員もいる。会社によっては社内結婚すると、夫婦のどちらか一方は退職することになる場合もあると聞いたことがあるし、むしろその辺については自由な方だと言えるかもしれない。
 だがおれとハルミの場合は違った。ハルミには夫がいて、結婚してからの日も浅い。つい最近まで新婚さんと言われていたほどだった。

 やはり面倒なことになってしまった。初めから予感はあった。
 ハルミは何を考えているだろうか。やはりおれと同じように心が乱れているだろうか。それとも落ち着いて対応策を練っているのだろうか。

 パソコンが起ち上がると、まずメールをチェックする。毎朝の決まりごとだ。いくつかの受信メールの中に、ハルミからのものがあった。受信日時はほんの数分前だ。
 緊張しながら開くと、「今夜会える?」とだけ書いてあった。とりあえず「OK」と返信した。それからいつもの通り仕事を始める。それしかやることが思いつかなかった。

     *

 夕刻になったことを確認したところで、自分でも驚くほどの大きなため息がでた。
 今日のところは何事もなく過ぎた。緊張しっぱなしで損をしたような気分だが、こうしているうちにも影で噂は広がっているかもしれない。油断は禁物だ。
 ハルミとは同じ業務を担当していることもあり、二人同時に退社することも珍しくないのだが、今日はあえて時間をずらした。先におれが出てハルミを待つ。場所はおれのアパート。だいたい一時間後にハルミはやってくるはずだ。

(第38話につづく)




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